K I R I B A N
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部屋の入口横に掛けてある姿見の前でひとつ溜め息を吐く。
それは深い深いもので…そんな目の前の自分を見つめ両手で頬を軽く叩いて気合いを入れた。

「…よし。」

同時にドアがノックされそのまま開いた先には…僕の愛しいカレシの姿。

「楓…支度できたか?」

やんわりと笑うイイ男につられ余裕もないのに笑ってみせると…。

「…表情堅いな?」

すぐにバレて苦笑いをされる。

「…僕だって緊張くらいしますから。」

拗ね気味な僕を真ん丸くした目で見つめる佐古が…クスッと笑って少し長めの僕の前髪をかき上げた。

「んなに緊張すんなよ。」

「するよ!」

だって…これから僕は、佐古の仲間達と一緒に遊びに行くんだから。
愛する佐古が一緒だとはいえ…見た事もない人達と同じ場所にいるなんて考えただけでも恐ろしい。

「隼人のヤツがどーしてもって言うんだからしょうがねぇだろ?」

「分かってるよ。」

今朝方かかってきた佐古の親友・隼人クンからの遊びのお誘い。
是非、僕も連れて…なんて勿体ないお言葉!
そりゃ…行かない訳にはいかないでしょ?

しかも…!
女の子が一緒とか言うんだもん、違った意味でドキドキだよ?

「マジ、かったりぃよな…?」

めんどくさそうに溜め息を吐き僕の手をギュッと握った佐古が…愛用のキャメルのロングコートのポケットに僕のごとその手を入れて…。

「さっさと行ってとっとと帰って来ようぜ?」

そう言って…戸惑う僕の唇にキスをした。


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