K I R I B A N
A
あぁ見えても楓はそんなに頭が悪い訳じゃない。
ただ、要領が悪いだけなんだよな…。

立ち上がってそのままベッドに倒れ込むと…微かに楓の匂いがしてなんとも言えない気分になる。

可愛い恋人があんな側にいるのに触れられねぇなんて…すンげぇジレンマだ。
お預けくらうのって…こーゆー事を言うんだろうな?
…なんて俺らしくもねぇ思考に陥り嘲笑した。

「ただいまー!」

バンッ!…と勢い良くドアが開き、行く時とは雲泥の差程の笑顔を浮かべた楓が戻ってきた。

「お帰り…ってまだ時間じゃねぇぞ?」

指定した時間よりも早い戻りに驚きつつ体を起こす。

「はい、佐古センセ!」

…と、俺の目の前に赤い缶のコーヒーが差し出された。

「僕に教えるの大変でしょ…?懲りずに付き合ってくれてありがとね!」

そう言ってニッコリと笑った。

なんて…

なんて可愛い事言うんだよコイツは!
気が付けば…腕を掴んで引き寄せ、楓の華奢な身体をキツく抱き締めていた。

「ちょっ…佐古ってば!コーヒー…」

「あぁ…ありがとな?」

込み上げる愛しさを押さえ切れず…抱き締める腕にグッと力を込めた。


[*←前n][次n→#]

3/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!