K I R I B A N
E
「あぁ…それね?」

困った表情をしてた僕のカレシがそのカタチの良い唇をゆっくりと動かして…。

「俺さ…自分も経験してるから『ずっと好きでした』って言葉にすンごい弱いの。だから…つい『ありがとう』って出ちゃったんだよね。」

小さく笑う顔を見上げて胸がチクッと痛む。
だって…
ゆうが『ずっと好き』だった相手は『僕』なんだもん、尚更で。

「…ごめ…」
「あ!さっきボスにメールしたからもうそろそろ来てくれると思うよ?」

上手く話を逸らしたカレシを見上げる。
すると…
ブラウンの瞳と目が合ってなぜだか急に恥ずかしくなった。

「でも…弘樹が嫌ならもうしないよ?」

唇に…祐一郎の唇が触れる。
この感触も暖かさも…全部全部、僕のだから…。

「…僕以外の奴に優しくなんてしないで。」

どうしようもないワガママだ。
そんな事分かってるけど…でも。

「分かった。もうしないよ。」

ニッコリと笑うゆうが…僕をギュッと抱き締めてくれた。

「ホント…?」

「うん。ホントだよ。」

見つめ合ってキスして…お互いを感じ合う。大事な人を…誰かになんて取られたくない。
だから…

「弘樹…?」

ギュッ…と抱き締めて、唇にキスして…そして。

「ゆうは…僕だけのだからね?」

ジッと見上げた僕のカレシが…この上ない程キレイに笑った。

―END―


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