K I R I B A N
告白 〜良介x芹沢
…俺と芹沢の始まりは…あの日、だよな?


芹沢と初めて会ったあの日…今まで恋と呼べる程の感情なんてもった事がなかった俺が、よりにもよって…男に恋をした。


転入生として紹介された芹沢を見た時はそんな気にはならなかったが…ほぼ半日一緒にいたら何故だかやたらと可愛いと思ってしまった。

今時いないくらい素直で…よく笑うし拗ねるし。
不器用なクセに一生懸命だし。

そんな芹沢を…心の底から"いとおしい"と思った。

そして…触れてみたら、もうすでに恋は始まっていたんだ。


あの日のあどけない笑顔より少しだけ大人びた横顔を見つめて頬が緩む。
左手を伸ばして…隣りで笑ってる芹沢の手をギュッと握った。

「ん?大葉??」

大きな瞳を真ん丸くして驚いたみたいに俺を見上げる。
当然…かもしれない。
人前で手を握るなんてそうない事だもんな?

しかし順応性の高い芹沢はニッコリと笑って俺の手をギュッと握りかえしてきて。

「大葉の手、温かいね?」

そう言ってまた笑う。

「温かい?」

「うん!」

スッと腕の中に滑り込み俺を見上げて。

「大葉の腕の中も温かいから大好きなんだ!」

耳を赤くしながらそう言う芹沢が堪らなく愛しい。

「んだよー!イチャついてんじゃねーぞー!」

投げられる柊の冷やかしも何故か気にならなくて…そして。

「芹も温かいよ。芹と一緒にいると…心も温かくなるんだ。」

零れた声に見下ろした可愛い恋人の頬が緩んで。

「俺も…大葉と一緒にいると、温かくて嬉しくて楽しい!」

「そうか…?」

「うん!だから…いつまでも側にいて?」

芹がくれた…愛の告白。

シンプルだけどその思いがストレートに伝わってきた。

「あぁ…ずっと側にいるよ?」

「約束、してくれる?」

キラキラした瞳で俺を見上げ、右手の小指をスッと伸ばして。

「ゆびきり!」

ニッコリと笑う芹沢の細い小指に俺のを絡める。

「ね、"ゲンマン"ってなに?」

真顔で聞いてくる可愛い恋人をキツく抱き締め…込み上げる幸せを噛み締めた。

―END―


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あきゅろす。
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