K I R I B A N
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「お疲れさまでした!」

クラス委員の会議が終わり手荷物をまとめながら時計を見れば…ちょうど五時ピッタリ!
さすが几帳面な大葉が委員長やってるだけある。

変なトコに感心しながら席を立ち、副委員長の小松となんか話してる大葉に手を振りその横を通り過ぎて会議室を後にした。

最近、日が短くなったせいか外はもう真っ暗で…薄暗い階段を小走りで降りながら、僕の恋人の待つ一階へと足を進める。

段を降りきり廊下に出ると真っ正面に祐一郎の姿が現れて…僕を迎えに来てくれたのかと思って顔がニヤけた。

「柊くん…」

聞いた事ない声が僕から見えないトコで祐一郎の名字を呼んで…思わず、踏み出した足を戻して壁の裏に身を寄せた。

「俺、柊くんの事が好きなんです!」

突然のそんな告白に驚いて声を上げそうになった口を掌で覆う。

…流れとは言えこんなトコに隠れて人の告白を聞くなんて…しかも相手は僕の恋人にそうしてるんだもん、色んな意味で複雑だ。

「ずっと…中等部の頃から好きでした。」

中等部…
僕の知らない祐一郎をこの人は知ってて…そして好きだと言う。
複雑、を通り越して沸き上がるのは強い嫉妬心。

…なんで…
なんで祐一郎はなんにも言わないの?

少し苛立ちながらも僕の方がヤツからの返事をジッと待ってて…。

「ゴメン。俺、大事な人がいるんだ。」

トクン…と胸が音を立てる。

「そう…だよね!ゴメンね…俺…!」

「…ありがとう。」

慌てる相手に何故かヤツが礼を言う。
なんで?
お前は…僕の祐一郎なんだからお礼なんて言うコトないだろうが!

頬を膨らませ、座り込んで膝を抱えた。


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あきゅろす。
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