K I R I B A N
C
学校からの帰り。
寮までのなだらかな坂道をしゃべりながら上がってく途中、さっき購買で話してた内容を再び芹公が口にした。
「チョーとスッゲー?」
驚いた顔した弘樹と弟が次の瞬間には大爆笑して…。
「それはさ…比べようがないと思うよ??」
笑い過ぎて涙目になってる弘樹が息も絶え絶えにそう言って笑う。
「えー!だって絶対、俺の方が柊より好きだと思うよ?」
「んな訳ねーだろ!」
アッと言う間に寮の門前に到着してバカみたいに笑いながら敷地を進む。
その間も俺と芹公は小さな戦いを繰り広げ続けていた。
「俺は大葉がチョー大好きだぁー!!」
「俺は弘樹が、スッゲー大好きだー!!」
エントランスに入り芹公と二人、まるで酔っ払いみたいに叫んでたら…
管理人の剣右さんにスッゲー怒られた。
みんなで走って二階に逃げて…各部屋の前でバイバイ。
俺はいつも通りそのまま弘樹の部屋に入ると机の上にカバンを投げ出しベッドに腰掛けた。
「も…笑い過ぎておなか痛いよ。」
いまだ爆笑してる弘樹の笑顔がまぶしくて…思わず目を細める。
「ホントのトコはどうなのさ?」
座ってる俺の腿を跨ぎ弘樹がいたずらっ子な顔して笑う。
「ホントは…って?」
しらばっくれて目を逸らすと俺の両頬が掌で挟まれ、正面を向き直させられて…。
「…なに?」
「だから…ゆうが僕の事どんだけ好きなのかって聞いてんの!」
俺を見つめる弘樹の目はかなり真剣で。
照れクサいけどちゃんと答えないとだよな?
そう…覚悟を決めた。
「俺は…弘樹を愛してるよ。」
「…うん。」
幸せそうに頷く瞳をジッと見て思わず頬が緩む。
「誰かと…何かとなんて比べられない。俺の全てをかけてもイイくらい、愛してる。」
言い終わると同時に唇に触れた柔らかな…唇。
「…嬉しいよ。」
はにかむ弘樹が可愛くて…その細い身体をギュッと抱き締める。
「痛いよ…ゆう!」
「俺は幸せだよ、ひろ。」
頬を赤くした可愛い恋人を見つめ、カタチの良い唇にゆっくりと唇を重ねた。
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