K I R I B A N
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いつもと変わらぬ日曜。
変わらない…って言うか変わった状態から変わんないんだ。
「……………ふぅ。」
もう何度目かの溜め息。
日曜日は当然ながら週に一度しかない。
なのに…
僕のカレシときたら、その貴重な日曜日にいつもバイトを入れてる。
普段は学校やら何やらでバタバタしてて夜しか一緒にいれないし、土曜日は…二人してお昼まで寝てるからやっぱりいつもと一緒。
だから…僕らにとっては日曜ってすンごく大事な日なんだ。
なのに…。
「遅いっ!!」
祐一郎の部屋のベッドの上にあぐらをかき、ヤツの枕をギューッと抱き締める。
その鼻先をくすぐる愛しいカレシの匂いに顔が熱くなった。
「もう…なんで…」
なんで僕だけ、こんなに悶々としてなきゃなんないんだ!
イライラしながら時計に目をやると丁度八時を回ったところ。
…バイトって、五時までじゃないの??
すると…。
ガチャッ。
ドアが静かに開き…この部屋の主が姿を現した。
「あれ…ひろ…」
「遅いっ!!」
「ごめん…ちょっと…」
「遅い遅い遅いっ!!!」
あーもう!
バイト明けで帰ってきたカレシに、なんでこんな文句ばっか言っちゃうんだろ…。
唇を噛み締める。
そんな仕草に何を思ったのか祐一郎が僕の顔を覗き込んで。
「…ごめんね、弘樹?」
困ったような表情をジッと見つめ、何も言えなくて…僕は眉を寄せた。
その眉間にヤツの唇が押し当てられる。
「ただいま、ひろ。」
やんわりと微笑むヤツを見上げて…
「…おかえり…ゆう。」
祐一郎の首に腕を回して…唇にキスをした。
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