K I R I B A N
B
仕事を再開した可愛い恋人の後ろ姿を目で追いながら悶々としている。
さっき中途半端に抱き締めちまったもんだから…もっと触れたいという貪欲な思いが次から次へと湧き上がり益々、悶々としちまう。
すると…。
俺の視界のど真ん中にいる智に見知らぬ若い男が近付いて。
「上にあるストレート見せてくれる?」
そう言ってジーンズ棚の一番上を指差す。
「ちょっと待って下さいね?」
頷いた智が足元の脚立をずらし、指示された所へと段をゆっくり上がっていく。
すると…
その後ろ姿を見ていたソイツが何をトチ狂ったのかイキナリ智のケツに手を伸ばした。
「ヤロ…ッ!」
椅子から立ち上がり智のケツに触れる直前でソイツ腕を掴み、そのまま『ジーマニ』の外へと引きずり出す。
「ちょっと!なんだよアンタ!」
慌てて俺の手を振り解こうとするヤツを通路の一番奥へ連れ込み壁際に押し付けて。
「テメェこそなんだ?誰の許可があって俺のモンに触ろうとしてんだよ。」
目の前のヤツの顔色が一瞬にして青くなる。
「アイツは俺のモンだ。近付くな。…つか、二度と店にくんな。」
ヤツの胸倉を掴み上げ、壁にドンッ!と押し付けて。
「…分かったか?」
静かにそう問う…と。
「は、はい!」
涙目になったヤツがとても良いお返事をして去っていった。
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