K I R I B A N
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重ねた唇の柔らかさに心音が早まる。
絡めた舌の熱さに…下半身が熱を持ち始めるのはアッと言う間で。

「お…ぉば…ッ!」

俺の変化に気付き慌てる芹沢を強く抱いて首筋に唇を落とす。

「あッ…!」

震える身体が愛しい。
戸惑う声も、そそる。

「お前を抱きたい。今すぐ…芹沢と繋がりたい。」

「ダメ…だよ…」

そんなのは分かってる。
この棚の向こうには結構な人数が読書や勉強をしてる訳だし。
…さすがに…ココじゃあできない。

「早く帰って…部屋で、ゆっくり…シて?」

赤い顔をしながらそう言う芹沢は本当に可愛い。

「あぁ…帰ったらゆっくりシよう?」

やんわりと笑うその頬に掌を添えてもう一度唇を重ねる。

さっき…
あと一歩遅かったらこんな風に笑えなかった。
そう思うだけで…体が震える。

後ろからはもう人の気配は消えていて…芹沢にちょっかい出してたヤツを殴り損ねた事に不満が残った。
でもこうしてまた屈託のない芹沢の笑顔が見れたから…よし、としよう。

「大葉?」

「…ん?」

「来てくれて…ありがとね?」

はにかんで笑う頬に唇を寄せてギュッと抱き締める。

「でもなんでここが分かったの?」

久遠と春日部のおかげだよ?
そう言おうと芹沢を見つめれば…

「もしかして、愛のチカラってヤツ!?」

…愛の…チカラ?

「まあ…まるっきり違う訳でもないけど…」
「スッゴイ!大葉!ね、スプーンとか曲げられるんじゃないの!?」
「いや、それとこれとは…」

スゴいスゴいと目を輝かせる芹沢を見下ろし苦笑いをする。
…けど。

そんな芹沢を愛しいと思う俺は…お前の為にだったらスプーンくらい曲げられるんじゃないか、と…本気で思ってしまうんだ。

恋は盲目、きっとそれはこういう事を言うんだろうな?
未だしゃべり続ける可愛い恋人を強く抱き…もう一度唇を重ねた。

―END―


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あきゅろす。
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