K I R I B A N
C
階段を駆け降り二階下の図書室にたどり着いて勢いよくドアを開けた。
中にいる生徒達からの視線を一斉に浴びて…ここにいるだろう芹沢の姿を探す。
…どこだよ…芹!
ズカズカと歩き続け一番奥の本棚に差し掛かった時。
「ちょっ…なに…ッ?」
「前から可愛いと思ってたんだ…俺と付き合ってよ。」
こちらに背を向けてるヤツの両腕が向こう側にいる…芹沢を囲むようにして壁に添えられていて。
瞬間、俺はソイツの首根っこを掴まえ力一杯後ろへと引き倒した。
「ウワッ!?」
そのままの勢いで倒れ込むヤツを見もせず、状況を把握出来てないのか瞬きを繰り返す芹沢を見下ろして。
「芹沢…大丈夫か?」
黙って頷く細い身体を腕の中に収めた。
「大葉…会議はどうしたの?」
「抜けてきた。」
「えぇっ!?」
サラサラな髪に頬を寄せて安堵の息を吐く。
「な…なんで?」
「芹が誰かに持って行かれないように…抱き締めにきたんだ。」
そんな俺の腕を解こうと芹沢がもがき始める。
「ダメだよ…そんな事で大事な会議…」
「お前の事が心配で会議なんて手に付かないんだよ。」
もがいていた動きが止まって…腕の中の芹沢がゆっくりと顔を上げた。
「…そう、なの…?」
「頭ん中…真っ白になって芹の事以外何も考えられなくて…。」
見下ろした芹沢の頬が真っ赤になり…耳まで赤く染まっていく。
「…ありがと。」
嬉しそうに笑う芹沢を抱き締め柔らかな唇に唇を重ねた。
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