K I R I B A N
B
しん、と静まりかえる会議室の中。
ホワイトボードの前に立ち持ってきた資料を開いて話を始める。

「昨日伝達した通り…」

ー俺を待ってる間、芹沢はいつも図書室にいたんだ…?

「各クラスごとに意見をまとめて…」

ー芹沢…。

思い浮かぶのは、教室に戻った時の嬉しそうな笑顔。
いつもよりニコニコして…まるで足元にじゃれつく子犬みたいに甘えてくる。

芹沢と一緒にいる為に受けた委員長だけど…
逆にアイツと一緒にいる時間が無くなってるような気がする。

俺が…俺の努力が足りないのか?

「大葉?」

春日部の声にハッとして顔を上げた。

「…あ、えと…」

マズい。
情けないくらい動揺してるな。
資料の上に置いた手をグッと握って。

「各クラス、問題なかったか?」

グルリと見渡すクラス委員からの苦情も出ず、話は滞りなく順調に進んでいく。

その間中、頭を巡るのは…やっぱり芹沢の事で。
俺がこうしてる間にだってもしかしたら芹沢に何かがあるかもしれない。
途端に早くなる胸の鼓動。

「…委員長?」

黙り込む俺の耳にクラス委員達の不安げな声が聞こえてくる。
だけど…こんなじゃまともな判断さえ下せない。

「…すまない。ちょっと…行くトコあるから。」

隣りにいる小松に場を預け会議室を飛び出した。


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