K I R I B A N
A
「良介!」

廊下を歩く背後から聞き慣れた声がして立ち止まる。

「どした?」

振り返った先には俺の親友で兄貴の彼チャンの久遠の姿。

「気を付けろよ?」

「…なにが?」

淡いブラウンの瞳が真っ直ぐ俺を見つめて。

「お前を待ってる間芹沢は図書室に出入りしてるんだけど…」

「図書室?」

それは初耳だ。

「そこにいるヤツが芹沢を狙ってるかもしんない。」

「……えっ?」

驚いて目をむく俺の隣りで…

「あ、そう言えば!」

春日部が何か思い出したかのように手を叩いた。

「前に祐一郎がそんな事言ってたような気がする!」

「ちょっ…なんだそれ?」

『寝耳に水』とはまさにこの事。
突然のそんな話に俺は…内心かなりうろたえていた。

「芹沢がそいつに…ては思わないけど、一応用心しときな?」

心臓が…凄い早さで脈打ってる。

「お、おう…サンキューな。」

平静を取り繕う俺に手を振り久遠が購買部に入って行きそれと同時にチャイムが鳴って。

「あ、大葉!急ごう!」

慌てた春日部に手を引かれ俺達は会議室へと向かった。



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あきゅろす。
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