K I R I B A N
G ―柊SIDE―
「公園で…待って…ま、す…っと。送信!」
佐古センセイの突発提案で俺達は"缶蹴り"する事になった。
ならやっぱ、あの二人も一緒じゃなきゃだろ?
そう思い弘樹とそれぞれにメールしてみた。
「来てくれるかな?」
ジャングルジムの下から俺を見上げる弘樹の隣りに勢い良く飛び下りる。
「ヒメがくればボスは絶対くるでしょ?」
「確かに。」
クスクスと笑う弘樹は…すンごく可愛い。
ギュッと抱き締めてオデコに触れるだけのキスをした。
「イチャイチャしてんなよ。鬼決めんぞ?」
ラブラブな俺達のすぐ後ろで野暮な佐古がせっつく。
「たまにはいいだろ?」
「ホレ、ジャンケンするぞ。」
抱いてた弘樹を放し円陣に加わる。
たかがジャンケンだけどやるなら勝たなきゃだ!
「最初はグー!」
佐古の合図でスタートして…
「ジャンケン…」
『ポンッ!』
同時に笑いが起こり唸ったのは、俺。
「一発で決まるなんて!相当弱ぇーな、柊!」
「しかもパー負けだよ?祐一郎!」
ゲラゲラ笑う佐古と弘樹を睨み付けながらもショックを隠しきれなかったりする。
この人数でのジャンケンで一発負けなんて…かなり間抜けじゃねーか?
「柊ってジャンケン弱いんだねー?」
芹公に笑われて…なんかすげームカツク!
「ルセーな…ジャンケンは半分運だろー!?」
「じゃあお前は、相当運が悪いんだな?」
弟にまで笑われて…
あークソ!
有り得ねー!
「チキショー!缶蹴り、ゼッテー負けねー!」
俄然やる気が沸いてきて…思わず柔軟体操なんてしてみた。
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