K I R I B A N
F ―拓真SIDE―
畳に横たわる智の身体に俺のシャツをかけその上からやんわりと抱き締めた。
「…智?」
細い足を撫で上げると…小さく声を発して俺を見上げる。
「も…ホントに盛り過ぎだから…。」
サラサラの髪にキスして頬に唇を寄せる。
ギュッと抱き締めて耳元で囁くのは…。
「愛してるよ。」
年中言い過ぎて信憑性がない、と言われる俺のホンネ。
何も言わずただ抱き締め合い、セックスで上がった体温を少しずつ冷ましていく。
まるで…儀式かなにかのように続けられている行為。
「腹減ったな…今日のメシはどうすんだ?」
「…まだ何も考えてないデス。」
腕の中の可愛い恋人が呆れたような声を上げる。
髪を撫でながらノドを鳴らして笑うと…顔を上げた智もまた笑う。
「家に帰ったらまず風呂だな。」
「そうだね…早く汗流したいかも。」
まったりとそんな会話をしながら笑い合い抱き締め合う。
それだけで…胸が暖かくなる。
「…じゃあ帰りますか?」
起き上がり智を抱き起こして額にキスをして…。
「智…」
「…たく」
もう一度唇を重ねた。
途端。
ちゃぶ台に置いてる俺の携帯が震え、畳の上に投げ出してた智の携帯からは「春」が流れ出した。
半ばキレながら携帯を手に取ると、柊と春日部からのメールが届いてた。
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