K I R I B A N
D ―良介SIDE―
携帯を耳に押し当てたまま鍵の掛かってる購買を後にする。
これだけ鳴らしても電話に出ないって事は…またヤってんだな。
校舎裏に停めてある拓真の車を確認して電話を切った。
裏門を出てアドレスをめくり…芹沢を開きそのまま通話。
コール二回目で。
『はいはーい!お疲れさまー!』
いつものテンションの芹沢の声が聞こえてくる。
「芹もお疲れ。今、学校出たとこだよ。」
『今、みんなで公園にいるんだ!』
「公園?なんでまた…?」
腕時計をチラと見ればもうじき四時。
夏時間だからまだ外は明るいけど…まあいいか。
「すぐ着くよ。」
『今はどこ?』
「ラーメン屋の前を…通り過ぎた。」
『今度食べに行こうね?』
「そうだな。…コンビニの前を…通り過ぎた。」
『もうすぐだね!』
コンビニを過ぎれば目指す公園は目と鼻の先。
顔を上げて正面を向いたら…。
『大葉!お疲れさま!』
公園の前で携帯を片手に手を振っている芹沢の姿。
通話を切りケツポケットに突っ込むと芹沢に向かって走り…目の前の華奢な身体をギュッと抱き締めた。
「お帰りー、大葉!」
「ただいま芹沢。」
満面の笑みを向ける芹沢の額に触れるだけのキスをした。
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