K I R I B A N
B ―楓SIDE―
…そうなんだ?
柊って…ただの体育会系じゃなかったんだね?
今更ながら驚いた。
春日部の方が周りに気を使ってると思ってたのに…実は柊だったとは!
目からウロコ。
ジャングルジムの頂上で楽しげに笑う柊を見上げ、そう言えばじっくり話した事って…?
腕組みしながら考えてみる。
柊はいつも佐古か春日部と一緒にいるから僕と二人きりになるなんてほとんどない。
だから話した事が極端に少ないんだよ。
うん、きっとそうだ。
ニイサンもそう!
あの人は久遠といつも一緒だからね。
それと…なんて言うかあの人は僕的に少し近寄りがたい。
物静かで、いつも忙しそうにしてて。
そんで…ちょっと雰囲気が恐い。
あ、でも佐古と良くしゃべってるよね?
…僕…
みんなとあんまりなじんでないんだろうか?
軽くブルーになってみたりした。
「西野?」
上からの声に驚いて顔を上げると…。
「具合でも悪いのか?」
意外にも声をかけてくれたのは柊だった。
「えっ…なんで?」
何故か慌ててしどろもどろになっちゃう。
「さっきから大人しいからさ?」
…ホントに良く見てるんだね?
柊の新たな一面が見れて…僕は少し得した気分になった。
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