K I R I B A N
「全てを…」@
携帯のアラームが頭上で鳴り響く。
…セットしてたのか?
ぼんやりする思考を何とか整え音のする方に腕を伸ばす。
と…
俺の指が触れるより先に音が止まった。
その代わりに触れたのは…温かで柔らかな、肌。
「…智?」
「ん…。」
まだ寝ぼけてるのか甘えたような声を発し俺の胸にすり寄ってきた。
「…まだ寝んのか?」
返事をしない。
夕べ…イヤ朝方まで抱いていたから当分起きれないか?
サラサラな髪に顔を埋め細い身体を抱き寄せた。
「智…」
毎日毎晩抱いても飽きる事はない。
智を知る前の俺には全くあり得なかった感情。
好きなヤツとするセックスがこんなに甘美で官能的だなんてな。
身体はもちろん、全てにおいての俺達の相性はなかなかなモノだと思う。
…それなりにコイツには無理させてると思うが。
一緒にいるのがあまりにも心地良くて…ついつい素の自分で接してしまう。
それでも文句ひとつ言わずに側に寄り添ってくる…愛しい、智。
「…起きねぇの?」
耳元に唇を寄せ囁く。
ピクン、と小さく震える身体に口元が緩んだ。
「その気になったら…声出せよ?」
首筋にキスしながら胸の突起を親指の腹でなぞり…細い腰をグッと引き寄せた。
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