K I R I B A N
「決心」C
澄んだ黒い瞳が僕をジッと見つめ…佐古を見て僕を見てを繰り返す。
僕は…田口さんの顔をまともに見れずただ黙ってテーブルに置かれた、水の入ったグラスを見ていた。
「あ、ワリィ…ちょっと電話。」
横に座る佐古が立ち上がりそんな僕らを残して電話用のブースに入っていった。
…気まずい。
すンごく、気まずい。
「楓ちゃん…だっけ?」
口火を切ったのは田口さんで。
「は、い。」
「ホントに付き合ってんの?」
…コクン。
頷くのが精一杯です。
「…しっかし驚いた。」
大きな溜め息を吐き背もたれに体を預け少し長めの前髪をかき上げる。
その仕草も格好いい。
「アイツからの電話って…ホントにロクなもんじゃねぇな。」
「す、スミマセン!」
「は?」
ヤバい…なんか反射的に謝っちゃった。
すると田口さんがクスクス笑って僕の頭を軽く撫でて。
「面白いね、楓ちゃん?」
「オイ、勝手に触んな。」
戻ってきた佐古が田口さんをギッと睨み付ける。
「触るくらいいいだろ?」
「アホが感染る。」
ハハッ…と笑いあった後田口さんが優しく笑って。
「楓ちゃん…こんなヤツだけど側に居てやってね?」
…嬉しくて…何度も何度も頷いた。
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