K I R I B A N
A
「…ただいま。」

部屋に戻ると、ベッドの上であぐらかいてる我がカレシが読んでた雑誌から顔を上げ僕を見つめる。

「お帰り。」

やんわりと笑うヤツに歩み寄り…カタチの良い唇にキスをした。

「どうしたの珍しい!」

目を丸くするヤツに、買ってきてやった牛乳を放りベッドを背にして床に腰を下ろす。

「なに…怒った?」

「ううん。」

アイスココアのプルタブを起こし一口飲む。
すると…
突然後ろから両脇に腕が掛けられ床に座ってた体が持ち上げられた!

「ちょっ…うわわっ!」

慌てる僕を引き上げベッドに座ってる自分の膝の上へと下ろす。

「スゴい…馬鹿力。」

「違うよ?愛のチカラですよ、弘樹くん?」

ニヤけながら僕を見上げ長い指で髪を優しく撫でる。
その感触に瞳を閉じた。

「…聞いてる?」

耳元に寄せられた唇から低い声が響く。
それだけで…鼓動が速くなるんだ。

「疲れてるみたいだけど何かあった?」

ゆうってば…何気に敏感なんだよね。
さすが、自称「弘樹マニア」なだけはあるな。

「んー…今さぁ…」

戻る途中に出くわした、佐古と西野の小競り合いの話をする。

それを聞きながら祐一郎は腹を抱えて笑っていた。


[*←前n][次n→#]

3/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!