K I R I B A N
「ぬくもり。」@
机に向かい会議用の書き物をしながら…ウンザリして大きく溜め息を吐いた。
その背後に気配を感じて口元が緩む。
「お疲れさま、大葉!」
背中にピッタリと密着し俺の首に両腕を回した芹沢に自然と心が和んだ。
「ああ…まだ半分も終わってないけどな。」
「そうなんだ…?」
急にシュンとなる姿に…果てしなく、俺は弱い。
髪を撫でてやりながら首に回された腕を解いて体を反転する。
「淋しかったか…ごめんな?」
椅子に座ったまま向き合い手を差し出すと、少し戸惑いながらも芹沢が俺の手を軽く握って。
「ん…大葉と一緒にいれるだけで嬉しいよ?」
やんわりと笑う。
…最近気付いた事。
芹沢の笑顔にはどうやら何種類かあるようだ。
普通の笑顔と嬉しい笑顔と心からの満点の笑顔…そして、今俺の目の前にある【無理してる笑顔】。
俺と一緒にいるだけで嬉しい…それは本心だろう。
でも…ホントはちゃんと相手をして欲しい…それがプラスされるハズ。
かなり疎い俺にだってそのくらいは分かる。
だから…握った手を引き腕の中に抱き寄せて。
「ちょっと休憩。芹沢補給させてもらってもいいか?」
目を丸くした芹沢が本日初の【心からの満点の笑顔】で笑った。
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