K I R I B A N
B
改札を抜けると大通りを挟んだ正面が俺達の目指す駅ビル。
しかしそこには陸橋を渡らないと辿り着けない。
改札を出た俺達は繋いでた指を解き、普通の友達よりは少しだけ近い距離感を保ちながら陸橋に上がる階段を上がり始めた。
上りきったそこから海を見る事ができるので心なしか速度がゆっくりになる。
すると…突然に肩を叩かれ驚いて振り返ると…?
『excuse me…?』
おぉっ!?
そこには…!
ヒロッとした容姿で透けるような白い肌。
ブロンドのフワフワした髪と碧い瞳の男の姿が!
が…外人…さん?
口を開きかけた彼に反射的に両手をかざして。
「ソーリー!」
カタカナ英語で叫んだ。
俺は…何より英語が苦手なんだよ!
すると…。
『you happen?』
隣りにいた芹沢がヤツにそう問い掛けた。
オーとかイエスとかって偉く感激してるような…妙な興奮状態になったソイツが、胸ポケットから日本語で書かれた名刺のようなのを取り出して芹沢に見せる。
『あー…this way…』
道路を指差し、やんわりと笑いながら芹沢が流暢な英語で道を教え始めた。
なんか…。
始めて見る芹沢のそんな姿に…俺はエラく感動した。
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