K I R I B A N
B
「…たく…」
智の手を引き河原に降りている最中、背中から小さな声が聞こえた。
「…ん?」
手を引いたまま振り返らずボロい橋を渡って対岸へと移動する。
渡りきった先の少し奥まった場所まで来て、足を止め後ろを振り返った。
「…どうした?」
見下ろした智の頬は真っ赤に染まり…カタチの良い唇はキュッと噛み締められている。
「…どうしよう…」
「なに…?」
落ち着きなく動いていた視線が俺の目をジッと見て…止まった。
「…キス…したい。」
そう言われて一瞬ドキッとする。
まさかこんな場所で…しかもテレ屋な智の可愛い唇からそんな言葉がでるとは…。
驚きつつもやはり沸き上がるのは欲望で。
「キス…だけ?」
細い肩を抱き寄せ顔を覗き込む。
「…え?」
可愛いお前にキスせがまれて…コーフンしない訳、ないだろ?
「今キスしたら…止まんないぜ?それでもシたい?」
抱いた肩が微かに震え…智が小さく頷いた。
「じゃさ…脱げよ。」
「…は…?」
「キス、させてくれよ。身体中至る所に…だ。」
足元のデカい岩に腰掛け戸惑う智を見上げる。
「脱…ぐの?」
「そう。そんで俺を誘えよ。」
ニヤける俺を見下ろす智の瞳が微かに揺れた。
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