K I R I B A N
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遅い梅雨が明けて、やっと夏がきた。
しかし…なったらなったでうだるようなこの暑さにダレるばかり。

エアコンをガンガン回して涼むのも風情がない。

「…どっか行くか…智?」

腕の中で眠る愛しい智の額にキスをして…起こさないようベッドから抜け出て携帯のフラップを開き通話ボタンを押す。

コールが三回鳴って…電話が繋がった。

『ちわ。』

受話器からは佐古の少し驚いたような声。

「おう。」

『どーしたんスか?珍しい。』

「お前に聞きたい事があってな。」

夏休みに入る前、西野と一緒に出掛けたという場所の話を聞いた。

『俺らはアシがなかったから電車とバスを使って行ったんデス。』

「国道沿いにあるのか?」

『側まで行けば看板とかあるハズ…って…オレサマ、行くんスか!?』

「ワリィかよ。…そこの住所とか分かるか?」

『ハイハイ…お待ちを。』

ゴトンと音がして…鼻歌まじりの佐古が電話口から離れた。
…相変わらずマイペースな奴だ。

『お待たせッス。えーと…』

佐古が言う通りにパソに入力して検索をかける。

「…ここか…?」

『そんじゃ、土産よろしく頼んマス!』

楽しげに笑う佐古の声に苦笑いをしながら電話を切った。


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あきゅろす。
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