K I R I B A N
③
｢ちょっと…祐一郎！｣
｢なに？｣
抱き締めてる弘樹を見下ろせば…不機嫌な目で俺を睨み付けてて。
｢…なんで怒ってんの？｣
｢人の話を聞けっての！｣
掛けてた布団をガバッと跳ね退け弘樹が上体を起こした。
｢バカ…風邪ひどく…｣
｢バタバタしたから鼻がムズムズしただけ！｣
顔を赤くして怒る顔をジッと見つめる。
｢…ホントに？｣
｢ホントだってば！｣
俺の唇に触れるだけのキスして。
｢人をけしかけておいて…急に止めんな！｣
あれ？
なんか今、止めんな…って言った？
ドキドキして弘樹をジッと見つめる。
そんな俺の沈黙をどう受け取ったのか、目の前の可愛い唇が拗ねたように尖りプイッと顔を背けてしまった。
｢…ゆうがしないなら…大葉か佐古の部屋に行くからいい！｣
｢はぁっ！？｣
イキナリの爆弾発言に慌てて飛び起きる。
｢弘樹！ちょっ…何言っちゃってんの！？｣
｢お前が勝手に勘違いしてんだろ！僕を…その気にさせたくせ…に。｣
言葉の後半は聞こえないくらいの小さな声で…。
つまり…やっぱりこれって？
｢シていいの？｣
｢…ダメなんて最初から言ってないだろ…｣
頬を赤くした弘樹が上目遣いで俺を見た。
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