K I R I B A N
B
一番奥の洗濯機にグショ濡れの一式を投げ込みフタを閉める。

「…ドライ…っと。」

ピッとスイッチを入れ、壁の時計を見上げてブースを後にした。

…しかし…
あんなに濡れる前に電話してこいっつの。
すぐに迎えに行くんだからさ…。
階段を上がり部屋の前に立って鍵を開ける。

「…楓。」

ドアを開けると…入口のすぐ足元にしゃがんでる楓がいて。

「お帰り!」

「…お前…」

何してんの…って言おうとして状況を確認する。

「んなの俺がやるからいい。」

濡れた床を拭いてる手から雑巾を取り上げた。

「僕が濡らしちゃったんだもん…拭くくらいさせて?」

「バカ!せっかく風呂に入ったのに意味ねーだろが!」

風邪なんて引かないようにと風呂に入れて身体もキレイに洗った後だってのに…。

「変な気ぃ使うなよ!」

腕を掴んで立ち上がらせてギュッと抱き締める。

「あんな雨降ってたんなら俺を呼べよ。迎えにくらい行ってやるから。」

「…でも佐古が…。」

「俺はお前がグショ濡れで帰って来る方がヤだ。」

ムチャしやがって。
そんなトコも…可愛いんだけどさ。

「一緒に行ってやんなかった俺も悪いよな?」

濡れた髪をかき上げて額にキスした。


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