K I R I B A N
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何もない机の上に教科書出して…シャーペン片手にノートに答えをのせていく。

…ったく…こんなん簡単過ぎるっての。
数学が得意な俺さまにこのテの課題?
ナメてんのか…って感じだ。

「からっきしな楓ならともかく…」

そう呟いてふと思い出す。
…そう言えば…
買い物するって駅前で別れたっきり連絡ねーな。

「…あ…」

視線を向けた窓の外では結構な強さの雨が降ってた。

「マジ…運の悪いヤツ。」

シトシト、ではない。
ザーザーと降り続く雨。

近付いた窓の下を頭上にカバンを乗せて走ってる見慣れた姿を見付けて。

「…ったくしょーがねーな。」

窓際から離れて部屋のドアを開けた。
階下からバタバタと音がして…階段を駆け上がってくる足音。

もうちょいで…顔が見える。

「あ!」

「あーあ…グショ濡れじゃんか。」

現れたのは…全身ズブ濡れの俺の恋人。

「まったくさ…今日は雨の予報じゃなかったよね!」

カバンの中をゴソゴソとあさる足元に水溜まりができる程の濡れ具合に溜め息を吐く。

いまだに自室の鍵を探せないらしい楓の腕を掴んで部屋に引き入れた。

「佐古が濡れちゃう…!」
「ウルセー!」

強引にカバンを取り上げシャツのボタンに手を掛けた。


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あきゅろす。
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