K I R I B A N
F
「…どした?」
智が自分からしてくるなんて珍しい。
「ん…ちょっとしたくなった。」
頬を赤くして笑った智が可愛くて…思わずキツく抱き締める。
「たく?」
「愛してるよ…とも。」
見つめた智が頬を更に赤くして…俺の唇に唇を重ねて。
「俺も…拓真を愛してるよ。」
柔らかく笑った智に…どうしようもないくらいハマってる自分を再認識した。
もう後戻りは出来ない。
お前のいない世界なんて有り得ない。
「俺…こんな愛し方しか出来ないからヤだったら言えよ。…っても今更どうしようもないけどな。」
苦笑い。
目を丸くした智が何度か瞬きをして…やんわりと笑って。
「俺は…そんな拓真が好きだから平気だし、嬉しいよ?」
ギュッと抱き返されて…おかしいくらいに胸がドキドキする。
「だから…もっと愛して俺を離さないで。」
…キた。
ヤベェ…マジでキた。
「せっかく…。」
「…え?」
抱き締めてた身体をまた横たえて唇を重ねた。
「我慢してたのに…もう無理。」
「ちょ…ッ!えッ!?」
直した制服に手を掛けて脱がしてく。
「お前が欲しい。」
心も身体も余す所なく。
エゴと言われても…狂人と呼ばれようとも。
見下ろした智がやんわりと笑って静かに頷いた。
―END―
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