K I R I B A N
E
スヤスヤと眠る智の着衣を直してタオルケットを掛けてやる。

…ヤベェ…。
午後の授業が始まるまで三十分もないな。
十分前くらいまで寝かしとくか。

髪を撫でながら…まだ幼さの残るキレイに整った顔を見下ろす。

せっかくの一時間半ある昼休みをこんな風に毎日過ごさせちまって…可哀想な気もする。
俺のエゴなのか、と真剣に悩む時さえあるんだ。

んでも…どんだけ抱いても足りないくらいに俺は智を欲している。
愛しくて堪らない可愛い智之。

「俺の愛…重くないか?」

寝顔にそっと呟く。
きっとお前は…

『愛してくれて…ホントに嬉しいよ?』

そう言って笑うだろうな。
それが…正真正銘、ホントのお前のキモチだと俺は信じてる。

「…らしくねぇな。」

俺の中に初めて生まれた感情。
愛っていうのは…紙一重なのかもしれない。

溜め息を一つ吐いて。

「智…ホラ起きろ。午後の授業始まるぞ?」

細い肩を軽く揺らす。
長いまつ毛が微かに震えてブラウンの瞳が姿を現した。

「ぁ…俺…?」

事の成り行きを思い出したのか智の頬がポッと赤くなる。

「…授業…行かなきゃ。」

立ち上がった智がやんわりと笑い身体を屈めて…俺の唇にキスをした。


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