K I R I B A N
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静かな奥部屋の中、ノートパソコンのディスプレイとの睨み合いの合間に時計をチラ見する。

やっと正午を回りもう少しで俺の可愛い恋人が昼飯を作りにやってくる。
掛けてた眼鏡を外し、データをセーブして電源を落とすとその場で一つ伸びをした。

購買の運営しながら本職をこなす毎日。
何気に結構キツかったりもする。
だが…智の笑顔を見たらそんな辛さも吹っ飛ぶってもんだ。

いつの間にかこんなにも智之にハマっちまってる自分に苦笑いをした。

…すると。
購買の外に出てるパン屋に殺到するガキ共の雄叫びが聞こえ、すぐに消えた。
外との間のガラス戸が開閉されたんだろう。

立ち上がって部屋のドアを開けてやる。

「あ。」

「おう。」

開けたドアの先には両手にタッパを抱えた智が立っていた。

「…なんだそれ。」

「ん?お昼ご飯だよ。」

「は?」

ドアを押さえてる俺の横を通り過ぎて奥部屋に上がった智を後ろから抱き締める。

「拓真?」

耳元にかかる髪をかき上げ唇を寄せた。

「…どした?」

「待ちくたびれた。」

視線だけ後ろに向けてイタズラっぽく笑う可愛い唇に唇を重ねる。

「もっとちゃんと顔見せろよ。」

頬を少し赤くした智が、やんわりと笑った。


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