K I R I B A N
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ムカツクくらいの甘甘振りを見せつけられ、ウンザリしてるトコに到着した楓を連れて購買部を後にした。

「どしたの佐古…なんかテンション低い?」

「…俺サマにやっつけられた。」

もちろん精神的に。
ビックリ顔の楓が俺をガン見して傷を確かめて…。

「大丈夫なの?」

「…あぁ。」

なんとなく重い足取りで歩く俺の手を握って楓がやんわりと笑った。

「なぁ?」

「ん…なぁに?」

見上げた柔らかそうな唇に唇を重ねる。

「…!」

驚いて逃げ腰の楓を逃がさないようにギュッと抱き締めた。

「ななな…!」

解放してやるとすぐに後ずさり、辺りをキョロキョロ見回して俺を軽く睨み付ける。

「なに…佐古!こんなトコで!?」

顔を真っ赤にしたヤツが可愛くて思わず顔がニヤけた。

「可愛いヤツ。」

「…なに?」

腑に落ちないって顔の楓の手を握って歩き出す。
…人前とかカンケーないよな、なんてニヤニヤしながら購買部での事を思い出した。

あの俺サマも…久遠にメロメロなんだろな。
だからいつでもキスしたいと思うんだろう。

「恋をしたら…只の男、か?」

「はい?」

俺も…あんな風に楓に溺れてみたいもんだな。

不思議そうな顔する楓の髪を撫でて額にキスをした。


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あきゅろす。
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