K I R I B A N
A
「弘樹っ!いるんだろ?」

ドンドンと部屋のドアが叩かれ…僕は返事もせずベッドに顔を埋めたまま唇を尖らせる。

あれから…階下に降りず試着したジーンズを買い裏手の階段を使って外に出た。
そのまま帰路に着いて…今は寮の自室にいる。

「弘樹ーっ!中にいるのは分かってるんだー!大人しく出てこーい!」

…僕は犯人かっての。

つか…スゴいムカつく!
なんで僕に置いてかれたのかなんても…分かんない訳!?

そりゃ…僕の買い物になんて興味ないのかもしんないけど、そんな間にナンパなんかするなよな!
しかも相手がオンナじゃ…冗談にもなんないよ?

久遠に憧れてる方がまだイイ!

相手がオンナじゃ…やっぱり勝ち目ないもん。

「弘樹ー?」

ドンドンと叩く音が小さくなる。

「おーい…弘樹?」

コンコンと軽いノックに変わって…そして、ドアの前からヤツの気配が消えた。

「…ゆう…?」

ベッドから身体を起こし…ゆっくりとドアに近付く。
…もう諦めて部屋に帰ったの?

ノブを握って…ドアを静かに押し開いた。

「弘樹!」

「わっ!」

目の前にいた祐一郎に気付き閉めようとしたドアを強引にこじ開けられ…ギュッと抱き締められた。


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あきゅろす。
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