K I R I B A N
B
「せ…せんぱ…」
「優太!無事か!?」
教室を見渡しながらズカズカと入ってきて…
「加藤は!?」
「も…帰り…マシタ。」
「はぁ?あのヤロー!」
ムチャクチャ怒ってる先輩を見上げて…なんか嬉しくなる。
だって…
俺の事が心配で…隣りの棟から走ってきたんだもんな…。
伸ばした手で先輩のシャツの袖を掴まえた。
「…優太?」
「あれ…歩、嘘言ったんです。」
「嘘…?」
怒った顔が赤くなって…挙動不信な程、目があちこち動き回る。
なんか…可愛い。
そのまま先輩の胸に頬を寄せた。
「…良かった…。」
ホッと息を吐いてそんな俺をギュッと抱き締めてくれて…
アゴに掛けられた指に顔を上向かせられ、唇に触れるだけのキスをした。
「帰ろっか?」
「…ハイ。」
照れくさいけど…こうして側にいれてマジ幸せ。
右手を先輩の左手でやんわりと包まれながら教室を後にした。
黙ったまま静かな廊下を歩いて…購買部を横目に見た先輩がおもむろに中を指差す。
「ココ…すげぇ色んなグッズあるんだって。」
「え?…グッズ?」
ニヤッて笑った先輩が俺の額にキスして。
「その内…一緒に来ような?」
訳も分からず…頷いてみた。
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