K I R I B A N
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「はぁ…。」
椅子に浅く座り机に突っ伏したまま、何度目かの溜め息を吐いた。
「なんだ不景気だな…?」
ガタンって音がして前の席から聞き慣れた声がする。
「歩…?」
顔も上げずにそう言うとクスッて笑う声がして。
「ガム食う?」
突っ伏してる腕と顔との間に板ガムが差し込まれた。
「さんきゅー…。」
モゾモゾと手を動かしてガムを取り出し口に放り込む。
「何かあった?」
いつもみたく静かに響く声にちょっとホッとしてノロノロと顔を上げると…ガムを噛みながら片肘付いてる歩と目が合った。
「あ…あのさ…俺ね…。」
痛む腰を擦りつつ…昨日の出来事を話した。
姉ちゃんと別れた先輩に好きだ…って告られて…キスして…セックスした事。
黙って聞いてた歩の眉がピクッと動いて瞳がゆっくり閉じられる。
「良かったな。」
小さく呟き閉じたまぶたを開くと、黒い瞳が俺を真っ直ぐ見つめた。
「うん…ありがと。」
照れくさいような…なんか変な気持ち。
「そんな幸せなのに何で溜め息?」
「………うん…。」
試験中で部活が無くて…今日はまだ先輩に会ってない。
でも…どんな顔して会えばいいのか分かんなくてちょっと困ってるんだ。
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