K I R I B A N
I -柊SIDE-
「様子はどうだ?」

ソファに座り部屋の小窓から向かいの弘樹達の部屋を監視してる。

「分かんねーな…。」

ガン見してる部屋の中は薄暗くて…時折パッと明るくなったりしてるのはきっと、画像が入れ替わる時なんだろうな。

…しかし…。

「大葉…お前まさか普通に歌おうとしてない?」

振り返ると…案の定、組んだ足の上に置いた分厚い本をパラパラとめくってる所で。

「…駄目なのか?」

「あのなぁ…別に俺ら、一緒にカラオケしにきてる訳じゃねーだろが!」

「まあな…でも勿体ないだろうが。」

俺から外した視線はまたもや本に戻されて。

…もう勝手にしろ!

小窓の方に向き直り溜め息を吐いてると、何やら後ろでピコピコ音がして…マジ歌いかよ。

「柊…マイク…」
「いらねーから!」

振り返りもせずに言い放ってまた溜め息。
…頭堅そうなのに…意外と自由人なんだな。

「…あれ?」

正面の部屋の前に男が三人…しかも小窓から中を覗いてて…なんだ?
嫌な予感がする。

「オイ、大葉!」

「『セロリ』にしてみた。」

「曲なんか聞いてねー!ホラ行くぞ!可愛コちゃん達の危機だ!」

立ち上がった俺達は部屋を飛び出し、向かいのドアを勢い良く開いた!


[*←前n][次n→#]

11/14ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!