K I R I B A N
H -弘樹SIDE-
マックで散々しゃべってから最終目的地のカラオケ屋に到着!
芹沢が無類のカラオケ好きだから、遊ぶって言えばほとんどカラオケなんだ。
「さっ!どうぞどうぞ!」
妙に機敏な動きで僕の前に分厚い本を置きその上にマイクを置くと、正面のソファに座ってパラパラと曲選びに入る。
自分の好きな事には無意識の内に必死になるもんなんだな…なんて思いながら、さっきの大葉との話を思い出した。
「芹沢は…大葉が大好きなんだね。」
「うん!…って何だよーイキナリ!」
照れる芹沢をニヤニヤしながら見つめて、アイスココアを一口飲む。
ほろ苦い後味が…まるで僕の気持ちのようで。
「よし!じゃあ芹沢への応援ソングとか歌っちゃうかな!」
「えーッ!ナニナニ?何の歌!?」
身を乗り出す芹沢をチラと見上げて。
「グッバイ・マイ・ラブ」
「それって別れの歌じゃん!」
軽快なツッコミを入れる芹沢がおかしくて腹を抱えて笑った。
すると…?
「楽しそうだね…俺らも仲間に入れてよ?」
開いたドアから…見知らぬ男達が入ってきた。
「…何なのアンタら。」
立ち上がって先頭の奴を睨み付ける。
「一緒に…遊ぼうぜ?」
そして…ドアの閉まる音がした。
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