K I R I B A N
C -弘樹SIDE-
自前のジーンズを脱ぎ、インディゴを履こうと足を上げ…太ももを凝視する。
「…祐一郎のヤツ…。」
左足の太ももの付け根に赤々と残るキスマークを見て顔が熱くなった。
そう言えば夕べは…
愛撫にやたらと熱がこもってたっけ。
『…弘樹…』
囁かれた声を思い出し…身体まで熱くなった。
すると。
「春日部ーッ!久遠がいたよーッ!」
試着室のドアの外から掛けられた芹沢の声に驚き、慌てて足を通してから自前のに履き替えた。
そしてドアを開けた目の前には…奏多さんに説教されてるニイサンと、その隣りで困った顔した久遠がいた。
「春日部、どっち買うの?」
手に持ってるジーンズを覗き込んだ芹沢に両方見せると…「うーん」と悩んでからインディゴを指差して。
「コッチが似合うね!」
ニコニコ笑ってそう言った。
…つか…。
「誰に?」
「ん?モチロン俺!」
オイ!
僕が試着したのにそれかよ!?
でも…
満面の笑みでそう言う芹沢を見ながら、つい笑っちゃう。
「なんで笑うんだよー?」
プッ!と膨れた頬を見ながら…ドが付く程の天然振りに笑いが止まらない。
そんな芹沢だから、あの大葉と合うんだろうな…なんて妙に納得した。
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