K I R I B A N
B -弘樹SIDE-
駅ビルに入りエスカレーターで上がって二階奥のフロアに到着。

ここは元々僕のお気に入りのショップで、久遠がバイトを始めてからは何気にみんなとの集合場所になってたりとかしてる通称《ジーマニ》。

店内に入るとすぐ、入荷したばかりのジーンズを物色する。

「こんちわ春日部くん!」

声を掛けられ振り返ると店員の奏多さんが段ボール箱を抱えて近付いてくる所で。

「奏多さんこんにちは!今日は久遠、お休みなんですか?」

そう尋ねると…呆れた顔した奏多さんが店の奥を指差して。

「拓真に連れ込まれてるよ。」

苦笑いをして溜め息を吐いた。

…連れ込まれてる?
あぁ…なるほど。

状況を把握して奥の扉を見れば…紙にデカデカと「使用中」と書かれた紙が貼り付けてある。

…二人は中で…ナニを、ナニな訳か。
苦笑いしてる横に芹沢が走り寄ってきてキラキラした瞳で僕を見つめて。

「ね、春日部!久遠はいたの?」

無邪気に笑う芹沢を横目に苦笑いしつつ奏多さんと目配せして話を逸らす。

「…この新作、試着していいですか?」

「あ、是非是非!春日部くん好みのスリムストレートだよ。」

手渡されたインディゴとワンウォッシュの二本を持って試着室に入った。


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