K I R I B A N
A -柊SIDE-
見送った弘樹の背中が寮の玄関から消えると…そのまま大葉の部屋の前に立ち、力任せにドアを叩いた。

「オイ!大葉弟!起きろよッ!」

ドカドカと叩き続け、やっとの事で開いたドアをこじ開ける。

「…なんだ…こんな朝っぱらから…。」

「何言ってんだ!もう昼だぞ!?」

スウェットの下だけ履いて…ボーッとした顔でポリポリと頭をかき大あくびをする。
…いつもの冷静なコイツはどこに行ったんだか。

「弘樹と芹公、もう出掛けたぞ!」

「…そんな時間?」

「とっとと支度しろよ!見失うだろが!」

「え…?」

キョトンとして俺を見上げる。

「お前、心配じゃねーのかよ!お前の可愛い芹公がもしかしたらどっかの誰かに襲われるかもしんねーんだぞ!?」

さすがにその言葉への反応はムチャクチャ速くてすぐさまいつもの締まった顔になって。

「すぐ追い着くから先に尾行しててくれ。」

「そうこなくっちゃ!」

ニッと笑って階段に向かった俺の背に低い声が掛けられる。

「柊!まかれるなよ。」

「…ナメんな!」

とだけ言い放つと、ダッシュで階段を駆け降りて玄関のガラス戸を押し開いて外に飛び出した。

何て言われようが大事な弘樹は俺が守る!

…過保護…とかは言わないでくれよな?


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あきゅろす。
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