K I R I B A N
@ -弘樹SIDE-
「…大丈夫?」
何度目かの問い掛けに半ばウンザリしながら携帯をジーパンのポケットに入れて。
「シツコイ。」
「だってさ、弘樹?」
「あのねぇ…。」
今日は久々に芹沢と二人で買い物とカラオケに行く約束をしてて…。
「変なヤツに襲われたらどうすんだよ!」
「受けて立つよ。」
「弘樹!」
やたらとシツコイ祐一郎は僕と芹沢だけじゃ何かあったら大変だからと、ついて来る気満々な訳で。
「世の中の男がみんなホモって訳じゃないんだからさ…僕と芹沢の二人きりだからって襲われるとかは無いと思うよ?」
「甘いよ弘樹!」
拳をギュッと握った祐一郎にやんわりと抱き寄せられて。
「もしもなんて、あっちゃ困るんだよ?」
ふうっ…と溜め息吐いて広い背中に両腕を巻き付け胸に顔を埋めた。
「全く…相変わらず心配性だねお前は。」
「バカだなぁ…俺は弘樹じゃなきゃ心配なんてしないよ?」
くすぐったくなるような言葉を平気で言えるトコは尊敬する。
僕には…言えないから。
「だからさ…俺も連れてって?」
「ダーメ!」
同時にコンコンとドアがノックされて。
「春日部ぇ!支度できた??」
脳天気な芹沢の声に二人して苦笑いした。
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