K I R I B A N
C
「なんかあった?」

僕の部屋のドアを開けて中に入ってくるなり佐古がムッとした顔をする。

その顔を見たら…何だか無性に腹が立って。
手に持ってた、佐古に渡すつもりのTシャツが入った袋を投げ付けた。

「何すんだ!この野…郎…?」

足元に落ちた袋から飛び出してるシャツを拾って…佐古が困った顔して僕を見上げる。

「…楓…?」

黙ってその端整な顔をジッと見つめ返す。

立ち上がった佐古がゆっくりと近付いてきて…僕の手に触れた。

「…楓?」

「鍵なんて…くれなきゃいいのに。」

「…え?」

じんわりと滲む視界に戸惑い顔を俯かせる。

「佐古は…僕の事、ホントに…好きなの?」

…言ってしまった。

聞きたくてしょうがなくて…でも聞くのが怖かった事。

「なんだよ…それ?」

「…だってさ…?」

僕の側にはいてくれないくせに…僕以外の人とばっかり遊んで。

なのに抱く時だけ僕を呼んで…。

僕は毎日、今朝みたいに佐古のベッドで一人目を覚ますんだよ?

「それで…愛してるって言われて信じられる?」

最後の方は情けないくらいに涙を零した。
蓄積されてた想いが口を開く度少しずつ吐き出されて。

伸びてきた佐古の腕にやんわりと抱き寄せられた。


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あきゅろす。
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