K I R I B A N
B
色々と物色して…心魅かれたシンプルなホワイトゴールドのリングピアスを買った。
でも…よく考えてみたら佐古ってピアスしてない気がして…。
これは僕のただの衝動買いになっちゃったかも。
はぁ…と溜め息を吐いてポケットから携帯を取り出し、フラップを開いてアドレス帳を呼び出す。
あ、か…さ…佐古。
ホントだったらペア機能に追加したいトコだけど…何となくまだ出来ずにいる。
通話をONにして…コールを数えた。
プルルル…
一回。
だけど…いつまで経っても繋がらなくて、諦めて切ってからメール画面を開いて…。
『佐古、電話ちょうだい!』
それだけ送った。
駅前をフラフラしながら携帯弄って…なのにいつまで経っても音沙汰ナシ。
今日という今日は…ホントにキレそう。
朝からグルグルしてる想いに勢いが増して…もう…我慢も限界!
その時…タイミングを見計らっていたかのように着信音の黒電話が鳴り響いた。
液晶に映し出された愛しい名前を見ながら着信を受ける。
「…もしもし?」
『なんかあったか?』
「…今日は何時頃帰ってくるの?」
ちょっと間が空いて。
『…今から帰るよ。』
いつもと違う僕の反応に気付いたのか、佐古は早々に電話を切った。
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