K I R I B A N
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朝…目が覚めたら、佐古はもういなくて。

夕べ散々抱き合った気怠い身体を起こし、ふと…視線を向けたサイドテーブルの上には。

「…鍵?」

小さな鍵と白い紙の上に走り書きで『使え』とだけ書かれたメモがあった。

「…この部屋の…鍵、なんだ?」

僕の部屋のとはまた少し違うそれを眺めながら…ふっと溜め息を吐く。

「…鍵までくれるのに…なんで朝は一人で起きるのかな?」

何度も思った疑問。
こうして恋人同士になった今でも、佐古は他の人との交流を縮小する気がないらしい。

ベッドから起き上がり、床に散らばる自分の服を拾い上げて一枚ずつ身に着けてく。

まぁ…こうなる事は最初から分かってたんだけどね。

佐古はなかなか社交的で性格的にも輪の中心にいるタイプだから、僕と違って友達も多いし引く手あまたな訳で。

今日もきっと…そう。
だって佐古の誕生日だもんね。
お祝いしてくれる人も…さぞやたくさん、いるだろう…さッ!

ボスッ!
佐古愛用の羽根枕を壁にぶつけて溜め息を吐く。

「…バカみたい。」

愛してるって言ってくれるくせに…いつも僕を放ったらかし。

こんなの…まるでセフレじゃん?

白い紙をそのままに、鍵だけ持って部屋を後にした。


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あきゅろす。
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