愛のカタチ/1.5
F‐弘樹SIDE

祐一郎が出掛けた後の主のいない部屋の片隅に座ってボンヤリとしていた。

今回の事は…誰がどう聞いても僕が悪い。
もちろん僕自身もそれを分かってるし反省もしてる。
だけど…相手がゆうだと思うとどうしても素直に"ゴメン"が言えないんだ。

足元に置いてる携帯を睨みつけて"鳴れ!鳴れ!"って思ってても…僕はそれを拾ってフラップを開く事さえ出来ない。


…なんでかな?
なんでなんだろう?


僕は黙ったままただひたすら携帯に"鳴れオーラ"を送り続けた。


◇◆◇◆◇


それから丸一時間経っても僕の白い携帯はただの一度だって鳴る事はなかった。

そんな風に待ってる自分が嫌で…祐一郎の匂いの残る部屋を出て僕は一人街に出た。
そして自然と向いてしまうのは…通いなれた学校へのルート。

自分の使う駅から電車に乗って見慣れたホームに降り立つ。
待ってるはずなんてあるわけないのに、僕はそこでも無意識に祐一郎の姿を探した。

そして…なぜか。


「春日部?」


僕の目の前に立っていたのは。

「あ…。」

僕の大事な仲間で…僕が大切に思っている…

「大葉…良介。」

あまりに突然過ぎて思わずフルネームで呼んでしまう。
それに気付き慌てる僕を見ながら大葉はいつもと変わらない優しい笑顔を僕にくれて。

「こんにちは、春日部弘樹くん。」

そう言っていたずらっぽく笑った。


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あきゅろす。
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