愛のカタチ/1.5
E
苦い苦い気持ちに堪えられず家を出た。
家にいたらきっとまたあの人とイヤでも顔を合わせてしまう。
それがイヤで…ジッとしてられなくて、でもどこにも行く所がなくて。
「春日部ー!なーにさっきからムスッとしてんのさ!」
「…別に。」
途方に暮れてるハズなのに結局足は溜まり場に向き…今僕は『ジーマニ』のカウンターの奥の椅子に座っている。
「…てか何でここに芹がいるんだよ。しかも西野まで。」
その僕の目の前には親友の芹と西野の姿。
二人が並んでカウンターに頬杖をつき仏頂面の僕を見て苦笑いをする。
「柊がバイトって事はもちろん佐古も一緒でしょ?」
ニッコリ顔の西野がそう言って。
「大葉はまた委員会!」
プンプンと膨れっ面した芹がそれでも笑って。
「だから遊びに来たんだー!」
声を揃えて言いながら楽しげに笑う二人。
それを見ながら優しく微笑む久遠。
そんなみんなを見ながら僕は…なんとなく疎外感を感じた。
多分、僕自身が心に余裕がないからそう思うんだろう。
「…春日部?」
ぼんやりとしていた僕の腕に久遠の指が触れる。
上げた視線の先には少し困ったように笑うキレイな顔があって。
「…なんかあった?」
柔らかな声に問われて…僕は…今までの経緯を話す事にした。
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