愛のカタチ/1.5
C‐良介SIDE
その人は…とても綺麗な人だった。
年齢は…うちの和美とそう変わらないくらいだろうか。
女性にしてはかなり高めの身長にもかかわらず更に高いハイヒールを履いている為、恐らく今は柊よりもでかい。
はっきりとした目鼻立ちに長い金髪が良く似合う…これぞ"外国人"という、純国産の俺が最も苦手とするタイプだ。
そんな彼女が芹の手を握り芹もまたその手を握り返す。
そしてあろう事か…抱き締め合い、互いの頬を寄せ合った。
「なっ…!?」
息を飲む俺を横目に見てその外国人女性がなにやら英語で話し始める。
それに答えて芹も流暢な英語で話し出し…あっと言う間に俺は、一人取り残されてしまった。
◇◆◇◆◇
どのくらい時間が経ったのだろうか。
散々放置していた俺の存在を思い出したらしく、彼女から慌てて離れた芹が俺の顔を見上げて。
「ごっ、ごめん大葉!」
ペコリ、と頭を下げた。
そして彼女の方を示してみせて…。
「大葉。この人はエリザベスっていって…俺の、大事な人です。」
…と言い頬を赤くした。
え…
今、なんて?
聞き流しかけた言葉を拾い芹を直視する。
しかし今度は彼女に向かって俺の紹介を始めてしまったので俺はそれが終わるのを静かに待った。
『……』
流れるような心地良い芹の英話の合間に聞き慣れた単語が入る。
『リョウスケ』
『イッショ』
『ガッコウ』
…そして。
【トモダチ】
そこに反応して芹をジッと見ると芹は俺から目を逸らし彼女のコートの袖をキュッと摘んで。
「大葉…俺、今夜リズのホテルに泊まるから。」
「…ホ…」
そう言い終わり、呆然とする俺の顔を見もせず芹が彼女と共に視界から消える。
ガラガラと鳴る彼女のトランクのタイヤの音が消えても尚、俺はその場を動く事が出来なかった。
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