愛のカタチ/1.5
D‐佐古SIDE
意外、と言うかなんと言うか。
購買部に着くなり俺の楓チャンがテストの答案を片手に俺サマへと駆け寄り…。
「にっ、ニイサン!僕、これっ…!」
何かの告白かと勘違いする程の勢いでその紙の束を差し出した。
それを受け取った俺サマは…一番最後のページをめくって。
「よく頑張ったな、西野。」
ホンの少し唇の端を上げて笑い…楓の頭の上に掌を乗せた。
「…えへへ。」
頭を二回撫でられ…何故か頬を赤らめる楓。
この光景に驚いているのは俺だけではないらしく…隣りに座る柊も春日部も目を丸くして妙にホノボノな二人を見つめる。
「俺も頑張んなきゃ、あっという間に西野に追い越されちゃうね?」
そこに更に…甘そうな香りを放つマグを差し出す久遠も加わり、ホカホカ家族が出来上がった。
「佐古。西野をちゃんと褒めてやったのか?」
デレデレな楓をガン見している俺に、俺サマの声がかかる。
微妙な気持ちで振り向けば…久遠を抱き寄せキスの真っ最中な俺サマ。
…なんか。
どうなんだよ、これ。
「…拓真サンが褒めたんだから、別に俺がしなくてもいいでしょ。」
軽くムッとしてそう言えば、悪戯っぽく細められた俺サマの目が俺を見返して。
「この程度でヤキモチ妬いてんなよ。ちっちぇな。」
…と、楽しげに笑った。
「…そんなのアナタに言われたくないですよ。」
―まるでガキみたいだ。
そう思っても気持ちが抑えられずにまた見返せば…ククッと喉の奥で笑った俺サマが真っ直ぐ俺を見て。
「いつまでも惚れられてると思ってあぐらかいてんなよ?慢心は身を滅ぼすからな。」
…と言ってまた笑う。
俺は…言葉が返せず苦笑いをするしかなかった。
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