愛のカタチ/1.5
H‐拓真SIDE
「ただいま。」
鍵を開けて部屋に入り声をかける。
…と、返ってくるハズの柔らかな声が聞こえず顔を上げて中をぐるりと見回した。
すると…正面のベッドには横たわる愛しい恋人の姿があり、心なしかドキッとする。
静かに近付きその顔を覗き込んで…。
「…寝てんのか。」
安堵の息を吐く。
以前に一度こんな状態で倒れていた事があった。
以来、同じシチュエイションに当たると一瞬それが頭をよぎりギクッとしてしまう。
サラサラな髪を撫でて額にキスをひとつ。
すると。
その腕の中に大事そうに抱かれて眠る小さな黒いかたまりを見付けて…大人気ないと分かっていながらも軽くムッとした。
「俺…終わってんな。」
苦笑いを浮かべながら猫ごと智を抱き上げ床に下ろす。
ベッドにかかっているカバーを外し布団を開いて…床に寝かせていた華奢な身体を抱き上げ、その場に戻した。
「メシ…食ってんのかよ。」
一緒に食ってるから分かってはいるが…この軽さには正直驚く。
身体を酷使させ過ぎているんだろうか?
分かっていながらも…智を欲する気持ちは止められない。
頬にキスをし…唇を重ねて。
今すぐにだって抱きたいと思う衝動にかられる。
それ程までに…愛しているんだ。
スヤスヤと眠る智の背に体を寄せて抱き寄せ布団をかぶる。
不本意ながら…黒猫ごと愛しい恋人を抱き締めて瞳を閉じた。
[*←前n][次n→#]
無料HPエムペ!