愛のカタチ/1.5
G‐柊SIDE

まるで気合いの入らない午前が終わり、昼休みのチャイムと同時に弘樹を連れ出しいつもの屋上前の踊り場へと向かった。

階段の途中、我慢できずキスして…抱き締めて。

「ゆ…う…」

「…ん、ひろ…」

キスの合間に名前を呼び合うだけでも幸せで…。

伸ばした手がちゃんと弘樹に届く…たったそれだけの事がこんなに嬉しいなんて離れなきゃ気付かなかったけど…。

「もっと…ギュッてしてよ…」

抱いた腕に力を込め唇を貪る。
差し入れた舌を弘樹が受け止め…まるで渇きを満たそうとするかのように夢中で求めあった。

「ゆぅ…シて…」

カチャカチャと音がしたかと思うとベルトが外され下着の中に弘樹の小さな手が滑り込んできて…完勃ちなそれを性急に扱く。

俺はキスを続けながら弘樹のブレザーをまくりシャツを引き上げ柔らかな肌に指を滑らせて。

「ひろ…好きだ…。」

そう囁いた瞬間、弘樹の後ろから携帯の電子音が鳴りだした。

「…ひろ…」
「いい。どうせ…おじいちゃん、だから。」

いつまでも切れないその無機質な音に…盛り上がっていた気分も段々と萎えてきて…挙句。


ピンポーン。
『春日部弘樹くん、春日部弘樹くん。ご自宅から電話が入っています。至急職員室まで起こし下さい。繰り返し……』

…と…呼び出しの校内放送が流れた。

舌を解いて唇を離して…弘樹が掌で俺の胸をトンと押して。

「…行かなきゃ。」

乱れた制服を直しながら…弘樹は階段を駆け降りて行った。

その後ろ姿を見送る事もせず…頭を抱え俺はその場にしゃがみ込んだ。


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