愛のカタチ/1.5
Q

芹と抱き合った後の処理を終えてベッドに戻りひんやりとしたシーツに横になる…と。

「…へへ。」

布団の中から顔を出した芹が俺の胸の上にアゴを乗せて嬉しそうに笑った。

「どうした?」

尚も笑う芹の柔らかな髪を撫でると…益々嬉しそうな声を出して。

「なぁんか…この時間が一番好き。」

そう言って俺の掌に頬擦りをする。
本当に…芹は可愛い。

「…悔しいな。」

「えっ??」

ボソリと呟く俺の声に芹が敏感に反応し、それを宥めるようにまた髪を撫でながら。

「いや…芹の顔がちゃんと見たいと思ってな。」

ずっと見ていたから…分かる。
芹がどんな顔して笑うのかも…こんな声の時にはどんな表情をしているのかも。

けどそれはあくまで俺の記憶の中の芹の顔。

今の視力では…極近くまで寄らないと芹の細かな表情までは見切れずたまにぼやけたりもして。
前のようにくっきりと見れない事にもどかしさを感じる。

「コンタクトにし…」
「ダァメ!!」

あまりにもキッパリと拒まれ驚いて芹を見る。

「ヤダヤダ!大葉は絶対メガネじゃなきゃイヤだっ!」

なんでそんなところでこんな抵抗をするのかが分からず呆然とする。
…と、戸惑う俺に気付いたのか芹が頬を真っ赤に染めて。

「…ごめん。」

そう言って布団に潜ってしまった。

「大葉は…俺の顔が見たくてそう言ってくれてるのにね?」

布団の中からくぐもった声がする。
きっと…本当の芹はもっと奔放で我が儘なのかもしれない。
…けれど無意識になのかそれを抑え込むクセがついているようだ。

ひとつ溜め息を吐き被っている布団の上から芹を抱き締めて。

「分かった。」

「…え?」

「芹が眼鏡好きなら俺は一生眼鏡でいるから。」

そう告げると布団が跳ね上がり中から芹が飛び出してきて。

「ごめん!俺…」
「いいから。」

慌てている頬に掌を添えて唇を重ねて。

「俺は…芹が好きな俺でいたいからもっと我が儘を言ってくれ。」

「おぉば…。」

真っ赤な顔がまた赤くなる。
そんな可愛い恋人をやんわりと抱き締めて。

「好きだよ…芹。」

抱き締めた身体が熱い。

俺の胸にグッと顔を寄せた芹の細い腕が背中に回り…力がこもった。

「好き…」

「うん。」

「好き好き好き…」

「…うん。」

サラサラな髪を撫でながらゆっくりと瞳を閉じる。
その間も…愛しい芹からの『好き』が言い続けられ俺はなんとも言えない、幸せな気分に浸った。

こんな小さな幸せを…芹と二人で重ねていけたらいい。
一緒にいれれば…それだけで幸せなのだから。

胸の中にいる芹の頬を両掌で包み顔を上げさせて唇を重ねる。

「…好き…りょう…」

「俺もだよ…たいち。」

離れた唇を追いまた重ねて…幾度となく甘い甘い口付けを交わした。

―END―




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あきゅろす。
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