愛のカタチ/1.5
I‐芹SIDE
青い空、白い雲、清々しい冬の冷たい空気!
いいね!
爽やかだねっ!!
キラキラと輝く海面を見ながら…ひとつ溜め息。
…なぜならば。
俺の右側には秦修司。
左側には小松くんというお付き合いを始めたばかりのぎこちない二人に挟まれ、これといった会話もないままこうしてずっとベンチに座ってるってわけ。
…なんでこんなになっちゃってんだか。
俺達のいる駅ビルのすぐ裏は海。
食後に海を見ながらゆっくりできるようにと建物の裏手に小さな公園みたいなスペースがつくられている。
そこのベンチに三人並んで腰掛けたまま…ジュースを買ってくると言って駅ビルに戻って行った大葉の帰りを今か今かと待ちわびてるんだ。
「…ふぁ。」
不意に隣りに座る秦修司があくびをした。
「なに。眠いの?」
そう聞くともう一回あくびをして目元の涙を右手の親指で拭い、俺を見て苦笑いをする。
「…あんま寝てねぇんだよ。」
「なんでなんで?寒いからいくらだって寝れるじゃん!」
…って聞き返したら秦修司のやつ顔を真っ赤にしてチラと小松くんの方を見て。
「…今日、初デートだと思ったらなんか…寝れなかった。」
呟くような秦修司の声に…つい…。
「…ぷっ…」
「芹っ!テメェ笑ってんじゃねぇよ!」
…笑いが出ちゃった。
「だってさぁ…秦修司のくせにそんな可愛い事言っちゃってさぁ??」
「なんだその"くせに"っつの!気に入らねぇ!」
いつもムッツリしてる秦修司が顔を真っ赤にして怒ってるのが新鮮で、なんか…。
「体育会系のやつって…みんなヘタレなの??」
素朴な疑問が浮かんだ。
だって…この反応なんだか柊に似てるんだもん!
「ヘ…ヘタレっ!?」
わなわなと震える秦修司がどんなに凄んだっても全然怖くない。
てか…逆にツボに入ったし。
「ぷ…ふふっ…」
言い合いしてる声を止めて笑い声の方を向けば…小松くんが顔を真っ赤にして笑ってて。
俺と秦修司はアイキャッチをしながら口元を緩めた。
「やっと笑ってくれたね小松くんっ!」
そう言うと、一瞬ハッとした顔した小松くんが…少し戸惑いながらもまた楽しそうに笑った。
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